結城さんの薄茶の瞳は、琥珀みたいだといつも思っていた私。他の人とは違う何かを秘めて輝くそれは、神秘の存在を閉じ込める琥珀とよく似ている。

そして、今はそこに、チリッと小さな炎を見た気がした。


「何故そんな大事な事、貴女は言ってくれなかったのでしょうか?」

「そ、それは……」


――私は選択を誤った……?

言わない方が問題にならないと思ったのに。私が言わなければ流れる事実だと。

それとも、言って問題にしていた方がよっぽど良かった?

――どっちが正解だった……?

ああ……。でも何を考えても、もう遅い。

何故、結城さんが私の言わない事実を知っているのか。今更それを考える?


「それこそ、私が一番知りたい事でしたよ」

「その、私……」

「“自分以外の者”が、貴女に近づく。許しがたい事を……」

「零さんの事、いつも結城さん厳しく言うからつい……。ご、ごめんなさ……い?」

「……」


無言の間が、ちょっと怖い。

じっと見つめてくる目の前の瞳が、とにかく威圧感を醸し出しているのだ。

射る様な強い視線。私を通り越して床まで突き刺すんじゃないの? って位。


(もしかして、怒ってる……?)


怒っているのならば、ちゃんと言っちゃえば良かった。完全に私の選択ミス。変な気遣いは無用だったかも……!