「似てるっていうか……。うん。やんちゃっぽい感じは似てるとは思いますけど……。私、ナユタ君は人懐っこい子犬ってイメージだから……えっと、」
「イヌ……?」
「ああっ! いや、犬とか猫とかそういうんじゃなくてですね! これってナユタ君知ってるんですか? 結城さんちの子猫に自分の名前が……って? 結城さん?」
キョトンとした表情の後、結城さんは自分の右掌で顔を覆う。肩が小刻みに震え……。
ど、どうしたんだろう?
「イヌですか! それは良いですね! さすが花音さん、着眼点が違う」
「え……あの? 私……」
ククク……と、結城さんは何がそんなにツボったのか笑いをこらえきれない様子で相変わらず肩を震わせていた。
「言い得て妙、とは……まさにです」
「え、何がですか?」
「ああ、失礼。つい」
それ以上は語らず、彼は、私達の足元で何かにじゃれている子猫を見た。
子猫の『ナユタ君』は、丸いふわふわしたボールの様なものに興味津々の様子。
これは……猫用のおもちゃ? 鈴がついているのか、それは転がる度にチリンチリンと甲高い音が鳴る。
「まぁ、ネコでもイヌでも、どっちでもいいんですけどね」
『ナユタ君』を見下ろす結城さんの瞳が、フッと細められ優しい色になった。
言葉とのギャップに、私は思わずドキリとさせられる。
なんだか、“どんな姿でも自分の側にいるなら愛おしい存在なのだ”そんな風に言ってるみたいに聞こえてしまった……。