「あ……彼って……。この子、オスなんですね! 名前は何て言うんですか?」


オレンジの甘さと紅茶の爽やかな香りが喉を通りすぎる。後味は想像通りさっぱり。

カランと氷がグラスを叩いて、指先の温度を変えていくのを感じた。

私の質問に、グラスを傾けていた結城さんは「ああ」と頷いた。


「ナユタですよ」

「は!?」

「ナユタです」

「……は!?」


つい同じリアクションをしてしまった……!

だって、だって! ねぇ!? ナユタって……。


「ナ、ナユタ君と一緒です……ね……?」


お店でピョンピョン跳ねている男の子を思い出して……。私は引き攣り笑いの中困惑する。

知り合いの名前を自分の飼ってる猫につけるって……? アリなの? ソレ?


「ええ、同じですね」


爽やかに微笑んで結城さん。何の問題も疑問もないという感じで続ける。


「そっくりでしょう?」

「……え、あー……まあ、その……はぁ……」


そういうフワッとした感じでついちゃったんですか? その名前は……。