ソファーで呑気に顔を洗ってる子猫を、私も苦笑で見つめる。

とんだやんちゃさんなんだね、君は。

心の中で話しかけていたら、


「紅茶でよろしいですか?」


背後のキッチンから声をかけられた。

はい、と答えようとして……思わず呆然と口半開き。


(私ってばっ! 当たり前の様に結城宅へ上がりこんでたーっ!!)


しかも、なに普通にくつろぎモードへ突入しちゃってんのさ!

ホイホイ誘われるがまま部屋に入っちゃってる自分が恥ずかしい。慌てて振り返った。


「いや! 私もう、おいとま……? 結城さん? これからお出かけする予定があるんですか?」


キッチンでは結城さんがお茶の準備をしている途中。そして、彼もいつまでも上半身無防備な姿でいる訳ではない。

真っ白なシャツを着、ボタンを数個止めずにいる姿。でも、お風呂上りに部屋でくつろぐにしては大分キッチリしているのでは? と思った。

……結城さんなら、まあそんな姿で一日中いてもおかしくなさそうだけど……。