その反応に私もすっかり嬉しくなり喉元を人差し指で撫でてみる。ゴロゴロ…、気持ちよさそうに目を細める子猫。可愛い!
撫で繰り回す……という表現はちょっと大袈裟かもしれないけど、滅多に触る機会のない子猫との触れ合いはこちらの母性をくすぐりまくりだ。私は大人しくされるがままの猫相手に、ほくほくと頬を緩ませ、ひたすらちっちゃな温もりを撫でていた。
「かわいー……ん?」
と、掌にぽつりと当たるものがある事に気付いて。
ちっちゃな頭を撫でると、その感触がある。
覗き込み、子猫の伏せられた耳を注意深く観察してみた。
「……えっ、これピアスだ!」
小さな黒い耳に小さな石。太陽を思わせる赤みがかったオレンジ色のそれは、部屋の照明を受けてキラキラ光ってる。
どうして気付かなかったんだろう。
一度目にするとその輝きはとても強く感じられた。こんなに光ってるのに、今の今まで気付かなかったなんて。
これ、本物の宝石なのかな?
興味をそそられピアスに触れたら、そこは駄目だというように子猫は首を振った。たちまち逃げる様に膝から飛び退いていく。
玄関の方まで走って行ってしまった黒猫を、私は「わ!ごめんねっ」と追いかけた。