紡は言葉にニヤリと笑みを浮かべた。
そんな姿に、セツナは困惑の表情を見せ、ナユタは影からパッとカウンターへ飛びついた。
「ど、どーすんですか!? なんか、かえって零さんの事たきつけた感じになっちゃいましたけど!?」
「別に構いません」
「でも紡……」
「いいんですよ。言っても聞かない身の程知らずには、その内罰を与えながら身分を分かって貰いますから」
それより紅茶……おかわりください、平然とカップを指さす紡。
セツナは溜息を吐くものの、それ以上反論せず彼のリクエストに応える。
ナユタは再び紡の隣の席に戻って、心配そうに呟いた。
「でも、ああ見えて零さん、結構やる時はえげつないんですよ……?」
「知ってますよ。よーくね」
「花音さんが心配です。ボク」
「言ったでしょう? 彼とは格が違うんです。零と私達では世界が、ね。それに……どんな事があっても、彼女はいずれ私のものになる。これはずっと前から決まっている事です」
「……ずっと前から……?」
「紡と花音は前から繋がりがあるの?」
セツナが紅茶を差し出しながら聞いた。
ひとり楽しそうに微笑む紡は、さてどうでしょう? と二人に言う。明らかに何かがあると言わんばかりの口ぶりに、双子は揃って肩を竦めた。
(また何も教えてくれない……)