「……ッ」
その声に、ナユタやセツナだけではなく、零までも一瞬動きをめる。
椅子からゆっくり立ち上がった紡は、零を睨むようにしてみると、
「これだから“堕ちた者”は困る。いつまでも自分に許された力があると思わないでくれませんか? 君がやっている事はただの乱獲に過ぎないんですよ。喰い散らかすしか能の無い存在は、私にとって邪魔でしかない」
かなりの威圧感を背に、固まる相手へ言い放った。
「……へぇ。オエライさんは言う事も違うねェ。だけどな、紡。アレを探してモノにするのは、何もお前だけに認められた特権じゃねーよな?」
圧に押されたのは一時。当然、零も言われっぱなしで終わるはずも無く。
クスリと口元を歪め、彼は挑発的に紡へ笑った。
「決めるのは、あの子だ。俺かお前か、はたまた他の誰かか……?」
「馬鹿馬鹿しい。確かに探すのは君にも認められている権利ですが。だけど、彼女は別格の存在なんですよ? 到底君には釣り合わない。自分の身の程を知ってから主張をしては?」
「……。テメェ……さっきから言わせておけば……!」
「何度でも言いますよ。あんなやり方で欲しいモノを手に入れようだなんて、反吐が出ますね。しかし、考えれば実に君らしいやり方だ。流石です」
クスクスと嘲笑を隠さない紡に、零の顔色がそれまで以上に険しくなった。