『ハルへ


せいぜい苦しめ、バーカ!


陽菜』


 それはあいつからの手紙だった。
 読んだ瞬間に裂いてしまった。何度も何度も裂き、それは跡形もなくなった。


 絶対に幸せになってやる。
 それが……私が苦しまないことが、あいつらへの一番の復讐になると思うから。


 私はそう、心に誓った。


 理久に出て行けと言われた私は、恋人の優翔の家に向かった。


「あの……ハル、さん……どうしてここに……」
「恋人のところに来たらいけないの?」


 ドアを開けて顔を覗かせた優翔は、声を震わせていた。
 怯えさせてしまったらしい。


 そんなつもりないのに。


「だって、その……俺は浮気、をしてたわけで……」


 そういえばそうだった。


 あの日、私は理久の家に用があって、その途中にこの人が見知らぬ女と楽しそうに歩いているところを見かけたんだ。


 それで……理久の家に、向かった。
 助けてもらえるわけなかったのに、私は理久のところに走った。


 それが、一番最後の記憶だ。


 そこからどうなったのかなんて、私は知らない。
 つまり、あいつに変わったわけだ。


「優翔はそんなこと……私を裏切るようなことはしないでしょ?」
「その……ごめん」