自分の言葉だと思わなかった。思いたくなかった。
 私は、こんなこと……


「ヒナの真似か?ヒナがそういうことを言うのは、お前がヒナを苦しめていたからだ。ヒナの性格じゃない。……なめんなよ、性悪女」


 理久は私を嘲笑した。


 一気に恥ずかしくなった。


「ヒナを消したのも、ヒナにこれ以上苦しんでほしくなかったから。ただそれだけだ」
「そ、そんなこと言って……本当はうざかったんじゃないの……」


 動揺のせいでいまいちうまく言えなかった。


 理久は私を睨んだ。体がすくんでしまった。
 今までの睨みがいかに優しかったか。


 そう思うくらい、今まで以上に憎しみがこもっていた。


「好きな女の不幸を願う男がどこにいる。幸せにしたいと思っても、そうすればお前に戻ってしまうのであれば、俺はヒナを消す。それが、ヒナにとって一番幸せな選択だと思ったから」


 息ができなかった。
 ここまで存在否定をされたことがなかった。


「それがヒナが味わってきた苦しみだ。これから……頑張れよ」


 理久はそう言いながら私に近づいてきて、紙切れを渡してきた。
 そして今度こそ離れていった。


 震える手でその折られた紙を開く。