リクの言葉で涙腺は崩壊する。


「……何が正解なのか、俺にはわからなかった。守りたいと思うのに、ヒナが消えなきゃならないっていうのが最善っていうのが、納得できなかった。でも……ヒナを幸せにしたいと思うけど、そうするとハルになってしまうから……」


 私が苦しんでいたのと同じように、リクも苦しんでいたんだと思うと、愛しいと思った。


「……リク」


 涙を拭い、彼の名を口にする。それだけで、幸せな気分になる。


「今まで、私のために苦しんでくれてありがとう。私、リクのために消えるよ」


 私を見るリクは、うっすらと涙を浮かべ、俯いてしまった。


「もう、これ以上ない幸福を感じちゃったから、きっと起きたらハルに戻ってる。だから、これが最後だよ。どうやったら消えるのかとか全然わかんないけど、もう出てこないように頑張ってみる。だから……」


 私は立ち上がり、リクの横に座る。驚き顔を上げたリクの頬に口づけた。


「今日が最後、だから」


 すると、リクは私を抱きしめた。リクは泣いて言葉が出てこないようだった。


 涙が落ち着いてきたのか、リクは私から離れた。


「……あの、紙とペン、借りても?」


 私は恐る恐るあの人に尋ねる。