どれだけの時間沈黙が流れたのかわからない。
 妙な緊張感から、私は固まって動けなかった。


 すると、誰かがため息をついた。


「ずっと黙ってたら話が進まないんですけど」


 リクだった。その声色から怒っているように思えて、私はますます顔が上げられなくなる。
 自分のこと、ハルのことを話しているのだから、私が逃げていてはダメだとは思うけど、昔からの逃げ癖がひどかった。


 逃げないって、決めたのに。


 そう思った瞬間、不思議と勇気が出てきた。


 あの人がどう思っているかなんて関係ない。
 せっかくリクが曖昧にしてくれたけど、それもどうでもいい。


 本当は、もっと早く、私が直接聞くべきだった。
 周りの優しさに甘えるのは、もうやめるんだ。


「浮気、してるんだよね?」


 前置きも何もなしに、包み隠さず言った。
 これにはあの人だけでなく、リクもアキも驚いていた。


 だけど、今そんなこと気にしていられない。


 問題は私とこの人で解決しなくちゃならない。
 二人には、見守ってもらう。


「急に何を言い出すかと思えば……俺は君の恋人じゃない。だから、浮気なんて」
「知ってる。ハルと付き合ってるって。……じゃあなんで、私に嘘ついたの?」