「これは私の憶測に過ぎないけど……ハルさんにとってのつらいできごとを、全部ヒナが経験してるんじゃないかな。そしたら、ハルさんの幸せそうな性格、ヒナの悲劇のヒロイン面も納得がいく」


 唐突な考察に、私は耳を疑った。


「そんなこと……」
「ま、普通に考えるとありえないよね」


 アキのため息交じりの言葉に、小さく頷く。


「ありえないけど、そうとしか思えない。その線が濃厚だと思う」
「じゃあ……私は、ハルの代わりにつらい経験をしてきたってこと……?」


 実際に言葉にしてみると、自分が何を言っているのだろうと思ってしまう。


「で、ここで考えなきゃいけないのは、なんでハルさんとヒナが入れ替わったり、元に戻ったりしているのかってこと」


 私という存在が生まれたことは、今考えることではないらしい。
 それよりも先に、その入れ替わりの原因を究明するべきなのか。


 私には、何を優先的に考えればいいのか、わからなかった。


「これについてはハルさんの身内に聞くべきだなあ……」


 アキはそう言いながら、私の顔を見てくる。


「私、知らない……」
「言うと思った。大丈夫、私は知ってるから。今から行ってもいいけど……まずはご飯食べてくれる?」


 そう言われて、私は急いでご飯を食べ終えた。
 そしてアキの服を借りて、ハルの身内に会いに行くことになった。