翌日、私が目を覚ましたのは昼間だった。


「昼間に目を覚ますとかありえないんだけど」


 テレビを見ながらくつろぐアキに、返す言葉もない。
 自分でもこんな時間まで寝るとは思わなかった。ここにいることが、心のどこかで安心したんだと思う。


「おなかは?」
「……空いた」


 そう答えたら、アキはご飯を準備してくれた。


「ありがとう」


 軽くお礼を言い、椅子に座る。
 アキは私の目の前に座った。


「食べながらでいいから話を進めよう」


 せっかちだな。そこまで急ぐ必要があるのだろうか。


 そう思ったけど、その疑問を口にすることはできなかった。ハルに会いたいから以外に理由があるとは思えなかった。


 しかし私は黙ってアキの料理を食べ進めるだけで、話を切り出すことができなかった。


「黙っててもわからないんですけど」


 私だって、わからない。
 原因を調べるためにここに来たから、少しくらい考える。考えたけど、記憶が曖昧な私にはやっぱり、限界があった。


「ヒナが知ってることは何?」


 見かねたアキが、質問してくれた。
 知っていること、というよりも私が記憶していることを言おう。


「アキと、彼……あのとき家にいた人が、浮気……あと、アキはあの人の元カノ……」