いつも通りに帰宅して、ツキに今日のことを話してから課題や復習に取り掛かり、一段落したところでツキと夕食を摂ることにした。


今日は、冷蔵庫に母が作ってくれたオムライスとシーザーサラダが入っていた。


我が家のオムライスはいつも薄めに焼いた卵が巻かれていて、私はふわトロの卵に包まれた物よりも慣れ親しんだこのオムライスの方が好きだ。


「ちょっとだけ出掛けてくるね」


夕食の片づけをしたあとでツキに声を掛けると、いつものように玄関まで見送ってくれたツキの頭を優しく撫でてから家を出た。


日が長くなってきたけど、二十時になるとさすがに空は藍色に染まっている。


昼間に降っていた雨はやみ、今はよく晴れていて、月も星も顔を覗かせていた。


そんな空模様とは裏腹に、私の心は憂鬱な色が広がっている。


結局、朝一番に堀田さんと挨拶を交わしてから、彼女とも他の子たちとも会話をすることはできなかった。


私なりに声を掛けようと努力はしたけど、一日中タイミングを窺っていただけだったのだ。


唯一、数学のノートを集めるためにクラスメイトたちに声を掛けて回っていた日直の子から話し掛けられたけど、その機会すら上手く活かせずに『はい』のひと言で終わってしまった。