「なんなの……」


「え?」


「あなた、勝手過ぎるんだけど! いきなり現れて人のこと振り回しておいて、急に無駄だって決めつけて……。なんで私がこんな思いしなきゃいけないの!?」


小首を傾げたクロを睨めば、彼が瞳を小さく見開いた。


不安になったことを言葉にしなかったのは、たぶん強がっていたから。


よく知りもしない相手に弱味を見せたくなくて、“こんな思い”という言葉で心に抱えた感情を濁した。


「超能力者だかなんだか知らないけど、勝手に近づいてきと思ったら好き放題言うだけ言って、結局なにがしたかったの!?」


「だから、俺は──」


「私は人と関わりたくないの! それなのに、昨日も今日もわざわざここに来たんだよ!」


支離滅裂のような気もしたけど、感情を上手くコントロールできなくて止まらなかった。


そもそも、人と関わりたくなければ、昨日も今日もわざわざ来る必要はなかった。


親にでも相談すればどうにかなるかもしれないと考えなかったわけではないのに、それでも私はこうして今日もこの場所に足を踏み入れた。


「人のこと振り回したんだから、ちゃんと責任取ってよ!」


そうした理由は、たぶん私の中に変わりたいと思う気持ちがあったから……。