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「さて、結果を聞こうか」


目の前でニコニコと笑うクロは、きっと答えをわかっている。


毒はないはずなのに明らかに裏のある彼の笑顔に、なんだか不快感が芽生えて眉を寄せた。


「……聞かなくてもわかってるんでしょ。超能力者様なんだから」


「俺のことなんて信じてなさそうなのに、それ言っちゃうんだ」


嫌味を込めて顔を背ける私に、クロがクスクスと笑っている。


そっと視線を戻すと、笑い続ける彼が楽しそうな顔をしていた。


昨夜、一方的に交わされた約束。


クロから提示された条件を達成できるはずがなかった私は、彼なら本当に学校に押し掛けて来るんじゃないかという恐怖と不安から、またこうして公園に来てしまったのだ。


「でも、ちゃんと頑張ったんだろ?」


「なにが?」


不意に柔らかく微笑んだクロに素っ気なく返したけど、やっぱり本当になんでも知っているんじゃないかと思ってしまった。


だって、私なりにできる限りのことはしたから。


隣の席の女子や、図書室でよく顔を合わせる同級生、そして掃除当番で同じグループの子。


その三人に話し掛けてみようと、一応彼女達に近づいたのだ。


結果として、一言も話せなかったのだけど……。