「あ、そうだ」


足元に置いていたバッグから袋を出して「ツキ」と呼ぶと、ベッドで寝そべっているツキがピクリと反応した。


「おいで」


袋を開けて取り出したのは、首輪。


シュシュタイプのそれは、ネイビーの生地に星が散りばめられ、真ん中には銀色の鈴と三日月のチャームが付いている。


三日月のチャームの中にも銀色の小さな星が多数あしらわれていて、なにからなにまでツキのためのデザインのように思えて、さっきキャットフードを買うために立ち寄ったペットショップで手に取ってしまったのだ。


今着けている革製の物は、ツキがうちに来てから二ヶ月ほどが経った頃から使っているから、ところどころ擦れて剥げている。


「これは外そうね」


使わなくなったとしても、たくさんの思い出が詰まったものだから大切に取っておこう。


「やっぱりよく似合う。ツキ、かっこいいよ!」


大人しく新しい首輪を受け入れたツキは、満足げな顔をしているように思えた。


欲しいものが浮かばなかったから、この首輪は自分自身への誕生日プレゼント代わりみたいな気持ちで買うことにしたけど、自分のものを買うよりも喜びが大きいような気がする。


「大切にしてね」


頭を撫でて微笑むと、ツキは嬉しそうに鳴いた──。