SHRが終わると、教室内はあっという間に賑やかになった。
いつもならすぐに帰るけど、さっきの出来事を反芻してぼんやりとしていたせいで帰り支度がまだ終わっていなくて、机の中の教材をバッグに詰めていく。
その最中、ふと、会話に繋がるチャンスを逃してしまったのかもしれないと気づいて思わず隣を見ると、堀田さんが立ち上がったところだった。
「ほっちゃん、部室行くよー」
「はーい」
クラスメイトに呼ばれた彼女は、笑顔で陽気な返事をした。
歩き出した堀田さんにできればもう一度お礼を言いたかったな、なんて考えていると、彼女が突然クルッと振り返った。
「松浦さん、ばいばい」
「え?」
笑顔で手を振ってくれたことに言葉を忘れそうになるほど驚いて、瞳を大きく見開いてしまった。
すると、堀田さんが再び手をヒラヒラとさせながら「ばいばい」と笑ってくれて、慌てて右手を上げた。
「ば……っ、ばいばいっ……!」
ぎこちなく振った手はあまり動かせていなかったし、挨拶は吃ってしまったけど、彼女は満足そうににこっと笑って教室から出て行ってしまった。
緊張のせいで息を止めそうになっていた私は、じんわりと汗が滲んでいた右手をキュッと握り締めた──。
いつもならすぐに帰るけど、さっきの出来事を反芻してぼんやりとしていたせいで帰り支度がまだ終わっていなくて、机の中の教材をバッグに詰めていく。
その最中、ふと、会話に繋がるチャンスを逃してしまったのかもしれないと気づいて思わず隣を見ると、堀田さんが立ち上がったところだった。
「ほっちゃん、部室行くよー」
「はーい」
クラスメイトに呼ばれた彼女は、笑顔で陽気な返事をした。
歩き出した堀田さんにできればもう一度お礼を言いたかったな、なんて考えていると、彼女が突然クルッと振り返った。
「松浦さん、ばいばい」
「え?」
笑顔で手を振ってくれたことに言葉を忘れそうになるほど驚いて、瞳を大きく見開いてしまった。
すると、堀田さんが再び手をヒラヒラとさせながら「ばいばい」と笑ってくれて、慌てて右手を上げた。
「ば……っ、ばいばいっ……!」
ぎこちなく振った手はあまり動かせていなかったし、挨拶は吃ってしまったけど、彼女は満足そうににこっと笑って教室から出て行ってしまった。
緊張のせいで息を止めそうになっていた私は、じんわりと汗が滲んでいた右手をキュッと握り締めた──。