「仕事なんかもうしたくないって思うくらいには、昨日の夜は疲れていたさ。

 いや、ここ何年かはずっとそう思い続けていたんだけどね。

 会社にいると、体と心のあらゆる部分からエネルギーが吸い取られていくんだ。

 職場ってのは何百本、何千本と、従業員からエネルギーを根こそぎ持っていくための触手を持っている――化物だよ。

 あかりちゃんの職場もひょっとするとそうかもしれないね。

 それでもう俺の体の中のどこにも、これ以上いまの仕事を続けていくだけの力はなくなってしまったんだ。

 もちろん、心の方にもね。

 分かるんだ。

 自分のことだもの」