そんなリュウヘイ君が犬になったのは、先週の金曜日の深夜のことだった。


 あまりにも突然のことだったので、わたしがリュウヘイ君の変化に気が付いたのは夜が明けてから、つまり土曜日の早朝にまで持ち越された。


「仕事に疲れちゃったんだ」


 リュウヘイ君は犬になるまでの経緯を、土曜日の朝から昼にかけてじっくり語ってくれた。

 窓からは土曜日の朝としては最高クラスの朝日がさんさんと降り注いでいた。

「そりゃ、疲れちゃうよ。リュウヘイ君、マジメだもの」

「そ、そうかな」

 リュウヘイ君はなぜかそこで照れた。

 わたしがそこで使った「マジメ」には決していい意味は含まれていなかったのにも関わらず、リュウヘイ君にはそれが通じていなかった。

 リュウヘイ君は本来頭のいい人なのだけれど、たまにこういうところがある。