リュウヘイ君はすこしマジメすぎるのだ。

 わたしは会社でのリュウヘイ君の様子は何も知らないけれど、家の中での彼を見る限り、きっと会社でもクソが付くほどのマジメなのだろうと容易に想像がつく。

 わたしが晩遅くなるときにはわたしの代わりにきちんと栄養バランスの整った料理を用意して、わたしが仕事から帰って来るまで食べるのを待ってくれている。

 休みの日には埃一つ残らぬほど徹底的に掃除機をかけ、雑巾でフローリングをぴかぴかに拭き上げる。風呂場のカビは容赦しない。

 わたしが洗濯し忘れたシーツやバスタオルを洗濯機に放り込んで回し、布団を干す。

 これではわたしのするべき家事がなくなってしまうではないか、とたまに危機感を覚える。

「せっかくの休みなんだから、そんなに一生懸命家事をしなくたっていいんだよ」

 わたしがため息交じりにこう投げかけると、雑巾を片手にしたリュウヘイ君は、決まり悪そうな微笑でわたしを振り向く。

「何かをしていなきゃ、手持無沙汰で気持ちが悪いんだよ」