関谷くんのその言葉と同じタイミングで、私も「え?」と言ってしまいそうになった。

 たしかに書いたのは私だけれど、出したのは私ではないし、イタズラといえばイタズラだ。けれども、央寺くんはそれを……知っていたっていうことだろうか?

「なーんだ。俺、ちょっとひとりでドキドキしたじゃーん。て、今思い出すまで完全に忘れてたんだけど。姫のんに久しぶりに会って、こう、記憶がピコーンて」
「あ、バスきた」

 関谷くんが身振り手振りを交えながら説明している横で、央寺くんが冷静にそう言った。

「ホントだ」

 立ち上がった私を見上げ、座ったままの央寺くんがふわりと微笑みながら、
「じゃーな、姫野。おつかれ」
 と言う。

 今まで話していた内容なんて嘘みたいに、もしくは、あえて終わらせたかのように。