「で?」

 え? その流れで、なんでそちらから“で?”って言われるんだろう。そう思いながら明日美さんを見ると、彼女はコミックレンタルの返却分をカートに載せながら、鋭い視線をこちらに寄こしていた。……というより、あきらかに睨まれている。

「どうなの? バイトの後、一緒に帰ったり、聞けばしょっちゅう電話とかもしてるらしいじゃない」
「あ……」

 しょっちゅうじゃなくて、平日は毎日です。そう言ったら火に油を注ぐことになると言うのは、いくら私でもわかる。

「ていうか、昨日夕方からここに入った時、ガラス越しに見えたのよね。ふたりで向かいのファミレスに入っていくところ」
「それは……」

 説明をしようとすると、それを遮るように明日美さんは、
「まぁ、同じ中学だったって言ってたし、店長に条件をつけられてるから仕方なくだってわかってるけど」
 と言った。

 “条件”? その言葉にひっかかったものの、
「そういうことだからさ、目をかけられてるからって好きにならないようにね。それに、私と律、いい感じだし」
 と続ける明日美さん。