人と関わらない仕事だと思っていた私は愕然として、“それなら辞めます”と言ってしまいたかった。

 けれど、
「そんな青い顔しないで大丈夫だよ。慣れだよ、慣れ。同じくらいの高校生もいて頑張ってるからさ、とりあえずやってみてよ」
 と店長に軽く言われて背中を叩かれたから、タイミングを逃して言い出せなくなってしまった。

 同じくらいの高校生……? せめて女の子だったらいいけど……。

 そう思っていると、ひとりの女の人がバイト服を整えながらスタッフルームに入ってくる。

「店長、お疲れ様です」

 さっぱりとした口調で挨拶をする彼女は、真っ黒なストレートヘアがとても美しい。スラッとしていて色白で、まるで同じ人間じゃないみたいだ。

 アイラインがきれいに入った、猫のような少し吊り上がった目を私に向けながら、
「その人ですか? 新しいバイトの子」
 と聞いている。