「……ここか」

 ようやくたどり着いたその場所は、美由紀の遺体が投げ落とされたという階段だった。

 美由紀本人と傑から聞かされた通り、階段を見下ろす位置に立って右手側には小さな公園、左手には高層マンション。公園の周りを囲うようにいくつか街灯が設置されていて、確かにこれではたとえ夜間の出来事だったとしても遠くから十分目撃できそうだと思った。

『いらしてたんですか』

 不意に届いたその声に、詠斗はまたしてもその肩をびくつかせた。