紗友と巧の協力を得ることになったと傑に伝えると、自宅マンションを会議室代わりに使うよう提供してくれた。
 その場で穂乃果に連絡した傑から、「穂乃果が自分も会議に参加させろと言っているぞ」と告げられ、またもや詠斗は頭を抱えることになった。知らない間に何やらすっかり大ごとになっていて、こうなってしまうとどうあがいても逃げられそうにない。

 何度もため息をつきながら詠斗は校門をくぐり、最寄り駅へと向かって歩き出した。

 創花高校は詠斗の暮らす街の西端にあって、詠斗と同じ市立中学校出身の生徒は詠斗のように電車通学をする者と自転車で通う者とに分かれる。ちなみに紗友と巧は自転車通学派で、たいていの生徒は雨でも降らない限り自転車を利用していた。