「……え?」

 詠斗は思わず声を上げた。

「詠斗?」

 突然何かに驚いたような顔をする詠斗に、紗友は眉をひそめる。




 誰か、誰か気付いて。




「……っ?!」

 詠斗は目を見開きながら右耳の補聴器に触れた。

 今――誰かの声が。