「……うん」
詠斗は素直に頷いた。
「亡くなった高校の先輩の声を聴いたんだ。それ以外の音は今までどおり何も聴こえない」
正直に話すと、傑と穂乃果が目を大きくして顔を突き合わせた。
見破られたことにも驚いたが、説得する手間をかけさせないところは「さすが」の一言に尽きる。昔から、兄の勘の良さには何度も助けられてきた。……助けを通り越して迷惑だったことも少なくないのだけれど。
ふむ、と小さくつぶやきながら傑はスッと立ち上がり、上着とともに所定の場所へかけられていた鞄の中から何やら取り出して戻ってきた。
「欲しいのはこいつだろう?」
手渡されるまま受け取ると、傑は再び腰を落ち着けた。それは一冊のファイルだった。
「先日起きた創花高校の女子生徒が殺された事件の捜査資料だ」
詠斗は素直に頷いた。
「亡くなった高校の先輩の声を聴いたんだ。それ以外の音は今までどおり何も聴こえない」
正直に話すと、傑と穂乃果が目を大きくして顔を突き合わせた。
見破られたことにも驚いたが、説得する手間をかけさせないところは「さすが」の一言に尽きる。昔から、兄の勘の良さには何度も助けられてきた。……助けを通り越して迷惑だったことも少なくないのだけれど。
ふむ、と小さくつぶやきながら傑はスッと立ち上がり、上着とともに所定の場所へかけられていた鞄の中から何やら取り出して戻ってきた。
「欲しいのはこいつだろう?」
手渡されるまま受け取ると、傑は再び腰を落ち着けた。それは一冊のファイルだった。
「先日起きた創花高校の女子生徒が殺された事件の捜査資料だ」