「おぉ、もう来てたのか」
現れたその人の目がいつになく輝いていて、詠斗は条件反射で眉間にしわを刻んだ。
「久しぶりじゃないか、詠斗」
爽やかな笑顔で微笑みかけてくるのは、吉澤傑(すぐる)。ちょうど一周り歳の離れた詠斗の兄である。
何やら穂乃果と言葉を交わしながら、傑はスーツの上着を脱いだ。所定の場所へきちんとしわを伸ばすように掛けると、まっすぐダイニングテーブルへとやってきて詠斗の真正面に座った。
「どうだ? 調子は」
始まった――詠斗は軽く息を吐き出した。
「いいよ、問題ない」
「飯はちゃんと食ってるのか?」
「うん」
「学校の授業はどうだ? ついていけてるか?」
「うん」
「新しいクラスは? 嫌なヤツはいないか?」
「うん」
「担任の先生は、きちんとお前のことを理解してくれそうか?」
「うん」
「紗友とはうまくいってるのか?」
「うん。……ん? え?」
つい流れで頷いてしまったが、最後の質問はどういうことか。
現れたその人の目がいつになく輝いていて、詠斗は条件反射で眉間にしわを刻んだ。
「久しぶりじゃないか、詠斗」
爽やかな笑顔で微笑みかけてくるのは、吉澤傑(すぐる)。ちょうど一周り歳の離れた詠斗の兄である。
何やら穂乃果と言葉を交わしながら、傑はスーツの上着を脱いだ。所定の場所へきちんとしわを伸ばすように掛けると、まっすぐダイニングテーブルへとやってきて詠斗の真正面に座った。
「どうだ? 調子は」
始まった――詠斗は軽く息を吐き出した。
「いいよ、問題ない」
「飯はちゃんと食ってるのか?」
「うん」
「学校の授業はどうだ? ついていけてるか?」
「うん」
「新しいクラスは? 嫌なヤツはいないか?」
「うん」
「担任の先生は、きちんとお前のことを理解してくれそうか?」
「うん」
「紗友とはうまくいってるのか?」
「うん。……ん? え?」
つい流れで頷いてしまったが、最後の質問はどういうことか。



