もう一度、詠斗は紗友の目をまっすぐに見る。

「俺にしか聴こえない声なんだ。俺が聞き届けなきゃ、先輩の想いはいつまで経っても報われないだろ?」

 真剣な眼差しを向けると、同じように真剣な視線が返ってくる。互いに逸らすことなく、しばしの沈黙が二人の空間を支配する。

「……わかった」

 静寂を破ったのは紗友だった。

「だったら、私も手伝う」