「は?」

 おもいきり不意を打たれ、詠斗は妙な声を上げてしまった。

『変わっていますよ。――幽霊相手に愛の告白だなんて』
「な」

 不意打ちの不意打ちに、詠斗は頬がほてるのを感じた。

「ち、違いますよっ! どこをどう聴いたら今のが告白になるんですかっ」
『「あなたの声を聴いていたい」、ですか。いいですね、素敵です。生きているうちにぜひ言ってもらいたかった』
「ちょっ、え? あ、いや……だからそれは……っ」

 あたふたと宙に向かって手を振っていたその時――。

 はっ、と詠斗は息をのんだ。

 誰かの手が、そっと右肩を叩いた。

「詠斗……?」

 驚いて振り返ると、そこに立っていたのは紗友だった。

「ねぇ……何してるの? ひとりで」