「とにかく、無理ですよ! 犯人捜しなんて。俺なんかにできるはずがない」
『だったら、警察に話してください。知子は犯人じゃないって』

「根拠もなしにそんなこと言えるわけないでしょうが!」
『根拠ならあるじゃないですか』
「どこに?!」

『被害者の私が言っているんですから、間違いありません』

 詠斗は頭を抱えた。この先輩、正真正銘のバカなのではなかろうか。

「……幽霊の証言なんて、誰が信じるんですか」

 これ以上ないもっともな指摘にようやく美由紀も気付いたようで、『あぁ、そう言われてみれば』なんて悠長なセリフを口にする。はぁ、と詠斗は大きくため息をついた。

『では、やはりあなたが真犯人を見つけ出す他に手はないようですね』
「だからどうしてそういう話に……っ!」
『ふふっ、冗談ですよ』