「お友達が?」

 少し驚きながらも、詠斗にはなんとなく話の筋が読めた。「なるほど」と小さく呟く。

「そのお友達は犯人ではない、と言いたいわけですか」
『絶対にそうではないとは言い切れませんが、おそらく彼女ではなかったと思います』

「けど、後ろから殴られたんでしょう?」
『殴られる直前、誰かが駆け寄ってくる足音に気付いて振り返ったんです。次の瞬間には何か硬いもので殴られてしまったので顔ははっきりと見ていないのですけれど、私よりも随分大きな人だったように思いますから、おそらく男性だったのではないかと』

「つまり、今疑われているお友達というのは、女性?」
『そうです。松村知子《まつむらともこ》――この学校の三年生です』