「本当に?」

「ほんとだって!」

「お前を幸せにしてやれないかもしれないぞ?」

「別にいいよ、私を幸せにしようだなんて思わなくて」

 詠斗が眉をひそめると、「だって」と紗友はにこりと笑った。

「詠斗の隣にいられるなら、それだけで私は幸せだもん!」

 思わず、詠斗は目を丸くした。そして、ははっ、と声に出して笑った。

「ちょっと! 何で笑うのよ?!」

「いや、どっかで聞いたようなセリフだなと思って」

「どっか?!……ってどこ?!」

 もうっ、とふくれた紗友もケラケラと笑う詠斗につられ、一緒になって笑った。