本当は、ずっと寄りかかりたかった。

 紗友の隣が、とても温かいことを知っているから。

 紗友の笑顔が、何よりも好きだということを知っているから。

 俺はずっと、お前と一緒にいたかったんだ――。

「……うん」

 清々しいほど綺麗な笑顔で、紗友は大きく頷いた。

「前からずっと言ってるでしょ?――私が、詠斗の耳になるんだって」

 何年経っても、変わらない答えが返ってくる。

 心から嬉しいはずなのに、まだ女々しく言い訳を並べ立てようとする自分がものすごく憎らしい。