「なんだかんだ言っても、美由紀先輩なら最後はあなたの決断を尊重してくれるんじゃないでしょうか」

 美由紀のように綺麗には笑えないけれど、少しでも美由紀の想いが伝わればと、詠斗はささやかな笑みを知子に向けた。

 ややあって、知子は涙を拭ってうんうんと首を縦に振った。

「ありがとう」

 凛々しく笑って、知子は詠斗とまっすぐ目を合わせる。その瞳は、何かを決断したかのような色を湛えていた。

「もしまた美由紀と話すことがあったら伝えてくれる?――あたしもあんたのことが大好きだよって」

 潤んだ瞳を陽の光がきらめかせる。詠斗は肩をすくめた。