翌日の昼休み。
やっぱりいつもどおり、詠斗はひとり屋上にいた。
青い空は今日も高く、どれだけ見上げても美由紀の声は聴こえない。
たった一週間だけ取り戻せた、この耳の声を聴く力。再び失ってしまったけれど、目を閉じれば美由紀の笑顔が蘇って、自然と笑うことができた。それだけで、少し強くなれた気がした。
先輩の分まで生きていく、なんておこがましいかもしれない。
それでも、前を向いて歩いていくことだけは諦めたくないと思う。
先輩が教えてくれたことを、いつも胸に抱いていよう。
弱くても、ありのままの自分でいることの強さを。