『私、思うんです』

 涙を拭った詠斗ともう一度まっすぐ向き合って、美由紀は柔らかい笑みを浮かべた。

『本当の強さって、飾らない自分でいることなんじゃないかって』

「飾らない、自分……?」

 はい、と美由紀は頷いた。

『自分の弱さに蓋をして、強がって生きていても、自分で自分を傷つけてしまうだけ。大切なのは、弱い自分を認めてあげること。弱くてもいいから、ありのままの姿で一生懸命前に進んでいこうとすること。本当に強い人は、自分の弱さと向き合える力を持っている人なんだと私は思います』