俺は。

 俺の心は、何を秘めているのだろう。

 本当は、何と言いたいのだろう。

『怖いのでしょう?』

 優しくて、温かくて、慈愛に満ちた美由紀の声が、詠斗を包み込んでいく。

『私が天国へ行ってしまえば、またあなたは音のない世界で暮らしていかなければならなくなる。そんなの、怖いに決まっています。だからあなたは私を呼び止めた……そうでしょう?』

 美由紀の手が詠斗の頭に伸びてくる。幽霊なのだから触れられている感覚はない。けれど、何故だろう。とても温かい、優しい熱が伝わってくる。

『あなたの気持ちを、言葉にしてください。私がすべて受け止めますから』

 美由紀は目を細め、詠斗はその瞳をじっと見つめる。