『こんにちは』

 包みに弁当箱をしまい終えたタイミングで、美由紀の声が聴こえてきた。

「こんにちは、先輩」
『ありがとうございました、事件を解決してくださって』

 いきなり事件の話を振られ、詠斗は少々面喰らってしまった。

「俺は何もしてないですよ。先輩のおかげで解決できたんですから」

『そんなことはありません。あなたがいてくださらなければ、私はいつまでも行き場を失ったまま、叶わぬ願いを抱えてこの世をさまよっていたでしょうから』

 少し引っかかる言い方をした美由紀に眉をひそめ、詠斗はそっと立ち上がった。