月曜日。

 創花高校はどこもかしこも神宮司隆裕と草間千佳が逮捕された話題で満ち溢れ、授業が始まってもなおただならぬ空気が漂うほどの異様な光景が学校中に広がっていた。

 考えてみれば、それも仕方のないことなのかもしれない。同じ高校の生徒が三人も殺され、それを犯したのもまた同じ高校の生徒だというのだから、もはや小説や映画の世界である。こんな経験、したくてもそう簡単にできるものではない。

 そんな中、詠斗はただひとりいつもと変わらぬ高校生活を送っていた。

 事件についてはほぼ当事者のようなものだったし、犯人が捕まった瞬間にも立ち会った。今更騒ぐことでもなければ、一緒になって騒ぐ相手もいない。詠斗にとってこの事件はすでに過去の出来事だ。土曜日のことを思い出しても気が滅入るばかりで、何の得にもなりはしなかった。