「君には今、同じ苦しみを分かち合える人が近くにいる。華絵からのいじめに遭っていた千佳ちゃんに出会って、君はひとりじゃなくなった。千佳ちゃんだって同じ。ずっとひとりで抱え込んできた痛みを、誰にも言えなかった心の声を、神宮司くんと分け合うことができた。なのに……なのにどうして二人とも、助けてって言えなかったの……!」

 泣きながらそう訴える紗友の姿に、神宮司はハッとした表情を浮かべた。その隣で、千佳も同じ顔をして涙を流している。

「人ひとりの力なんて、誰だって弱くて頼りないものなんだよ。でも……ひとりじゃ全然届かない言葉でも、二人で声を合わせれば何倍も大きく響いて、きっと誰かが気付いてくれる。ひとりじゃできないことでも、二人でなら叶えられることってたくさんあるんだよ! 今回のことだってそう。ずっと孤独の中にいて、今まで怖くて上げられなかった声……その声を届けるために、二人は手を取り合って、助けてって叫ばなきゃいけなかったんじゃないの?!」