悔しいも何も、事実なのだから仕方がないと思ってしまう。けれど、そんなことを言おうものなら本気で殴り飛ばされてしまいそうだ。

「ねぇ、神宮司くん」

 もう一度、紗友は神宮司を振り返った。

「誰も助けてくれなかったら、自分を攻撃してきた相手を殺してもいいの? 違うでしょ? 君自身の力で、少しでも誰かに助けを求めようとした?」

 チッ、と舌打ちをするような仕草を見せて、神宮司は紗友から目を逸らした。それでも、紗友はめげずに言葉を投げかけ続ける。

「確かに、仲田先輩はひとりで立ち向かうには怖すぎる相手だったかもしれない。怖くて、どうしようもなくて、ただ現実を受け入れるしかなかったかもしれない。でも神宮司くん、君はもうひとりじゃないはずでしょ?!」

 え、と神宮司は顔を上げる。