まっすぐ詠斗のことを見て、神宮司はフンと鼻を鳴らした。

「いいよなぁ、お前は。社会的弱者だからって、頼まなくともみんなが助けてくれるんだもんな?」

 悪意しか感じられない一言に、詠斗はじっと神宮司を睨んだ。

「片や僕達と言ったら……。僕や草間さんだってこんなに苦しい思いをしてるのに、だーれも助けてくれやしない。はっ、何なんだよこの差は!!」

 「おい」と傑が一歩踏み出すよりも速く、神宮司の前にずいと歩み寄る一人の姿があった。

 パンッ――。

 紗友の右手が、神宮司の左頬を張った。