「吉澤くんのさっきの話、間違ってません」

 詠斗はわずかに眉を動かした。ついに罪を認める発言をした千佳に、神宮司は目を閉じる。

「今回の交換殺人計画を持ち掛けてきたのは、神宮司くんでした――」




『……本当に、やるの……?』

『大丈夫、絶対に上手くいく。一度は疑われるだろうけど、アリバイさえあれば警察もそれ以上手出しはできないはず。自分のやるべきことをきちんとやって、証拠を残さないように細心の注意を払えば……』

 千佳はごくりと唾を飲み込んだ。狂気と不安とが入り混じる神宮司の瞳は、有無を言わさぬ強さを秘めているように見えた。

『やろう、草間さん』

 ぐっと千佳の両肩を掴み、神宮司は千佳の目をまっすぐに見た。

『あの二人がこの世から消えてなくなれば、僕たちは救われるんだ』

 今の千佳、そして神宮司にとって、『救い』の一言が世界のすべてだった――。