「万引きをさせられるようになって……。もう何度目かっていう頃には私もすっかり手慣れてきちゃって……そんな自分が怖くて……それでも、やりたくないって言えなくて……っ」

 泣きじゃくりながらも、千佳は懸命に言葉を紡いでいた。はっきりと物の言えない彼女にとって、過ちを告白することはどれほど心に負担がかかっているのか。あるいは吐き出してしまうことで、心にのしかかっていた重石を取り除くことができているのだろうか。

「でも、ちょうど三月に入ったばかりの頃……高校から一番近い本屋さんで、新刊の漫画を一冊盗んだところを神宮司くんに見られてて……」