自らを脅かす悪を打てば、平穏な日々が訪れる。そう信じたくなるほど、二人の心は逼迫していたのだろう。

「しかし、どれだけ上手く動いてそれぞれの敵を殺したとしても、警察がきちんと調べれば一番に疑われるのが自分達だというのは子どもにでもわかることだ。そのリスクを犯してもなお、あんた達は仲田先輩と猪狩さんを殺すことでつらい現実から逃れるという方法を選ぶことに決めた。そして、少しでもリスクを避けようと、ある作戦に打って出ることにした」

 細めた目で神宮司から睨み付けられるも、詠斗は怯むことなくその目をじっと見つめ返した。

「仲田先輩を草間さんが、そして猪狩さんをお前が殺す……互いに殺したい相手を入れ換え、それぞれの殺害時刻にアリバイを作ることで、警察からの疑いの目を避けようと考えたんだ」