神宮司隆裕のことを指して言ったのであろう美由紀の証言に、詠斗は大きく頷いて見せた。そして、一歩前に踏み出すと、二人の同級生に向かって口を開いた。

「ごめんな、わざわざ休みの日に出てきてもらって」
「××××××」

 神宮司が何か喋ったようだが、口の動きが小さくて言葉がうまく読み取れない。

『「謝るくらいなら呼び出さないでくれ」だそうです』

 ぐっと眉を寄せていると、ふわりと詠斗の髪が揺れ、美由紀の声が優しく届く。

『どうぞ、話を続けてください。今だけですが、私があなたの耳になります』

 はっ、と詠斗は目を見開いた。

 拳を強く握りしめる。先輩はきっと、すぐ隣にいてくれるんだ。これほど心強いことはない――。

 もう一度、詠斗はまっすぐ神宮司と目を合わせる。そして、改めて話を切り出した。