「……取り憑かないでくださいよ?」

『ご心配なく。未だに取り憑き方を知りませんから』

 振り返りながらそう言った詠斗は、自分のすぐ後ろで険しい顔を並べている紗友と巧の存在に苦笑した。二人には自分が一人でしゃべっているようにしか見えないのだと言うことを思い出し、もう何度目かの不思議な気持ちを味わうのだった。

 まもなくして、傑が二人の少年少女を引き連れて姿を現した。

 傑とともにやってきたのは、神宮司隆裕と草間千佳だった。