「こんな言い方はしたくないけど、殺人だって回数をこなせば多少なりとも慣れてくるものだと思うんだ。そう考えると、一人目である美由紀先輩の時に立派な工作をしておいて、三人目の猪狩華絵の時には何の細工も施さないってのはちょっと腑に落ちない。仮に三件の殺人が同一犯によるものだとしたら、三人目ともなれば一人目の時よりも上手くやれるはずだっていう自信が芽生えていたっておかしくないだろ?」

「詠斗の言う通りだ」

 傑は頷きながら詠斗に同意を与えた。

「連続殺人犯によくある傾向であるのと同時に、その余裕がケアレスミスを生むことも多い。思わぬところから犯人の尻尾が掴めるかもしれないな。……ところで、詠斗」